生活、音楽、吉井さん
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THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”
※重め・おセンチ注意。すみません。
※このお話は、筆者の体験を元に、頼りない記憶と主観でカット編集再構成されたフィクションです。
世の中には完璧じゃない美しさが存在する。
吉井さんの声の状態は予想より思わしくなかった。これがきっかけでまた...と考えてしまう自分が嫌だった。しかしその声とは裏腹に、赤とブルーの炎を纏ったような衣装に身を包んだ吉井さんの顔は燦々と輝いていた。その姿を見て、私は心配するより信じようと思った。きっと今この日にやることに意味があったのだと、なんの根拠もない確信が今は胸に咲いてくれている。
2020年には自粛を決め来られなかった東京ドーム。2018年に来た時と同じように、スクリーンに映しだされている始まりへのタイマーにもはや懐かしさを感じた。
100秒を切って大歓声が一斉にステージに向けられる。私は1塁側の1階席から人いっぱいの客席とステージを見つめていた。5秒前、自分でもえっこんなに?と思うほど込み上げてくる涙。姿は小さいけどシルエットでメンバーがステージに揃ったことを確認して、バラ色のイントロが流れてきた時にはもう、声が漏れるほど泣きじゃくってしまっていた。
アコギを抱えた吉井さんが、やっと戻ってこれましたと言う。うん。おかえり。おかえり吉井さん。それから、言いたいことはたくさんあるけど、(コロナで)声が出せなくなって集めたときの声も今日は一緒に、と言ったときに、吉井吉井で頭がいっぱいだった私は我に返った。そうだ、今日はTHE YELLOW MONKEYの復活の日であり、私にとっても来られなかったあの日のリベンジでもあるんだ。涙を拭うために持ってきた30周年のドームツアーのタオル、これしか持ってなかったからっていうのもあったけど、無意識に伏線張ってたのね、私。ドームに響き渡る歌声と共に、私の無念が浄化されていった。
さあ辛気くさいのはおしまい!さっそくドームで歌うために作ったSHINE ON、5万人の声と揃った手拍子は圧巻だね!最高!スクリーンに色んなアングルからの映像が一斉にバァァッと点いたときの歓声も大好き。あ、そうだ原曲のアウトロで小さく鳴ってるメロディーはアルバムで次の曲に続いてる感じなのかが気になっているよ。「ヒット曲はないけど代表曲はいっぱいあるんだぜ!」(語尾は覚えてないのでねつ造w)とちょっとへそ曲がりな言い方が吉井さんだわとクスッとしてRomantist Taste。これも声を出すところがある曲だ。腕を振り上げる5万人の光景に心を踊らせつつ、続けてコーレスのあるTacticsに突入。もう声出す曲の畳みかけだね笑。カズチャンネルで声が出せなかった前回の憂さ晴らし、じゃないと笑いながら、みなさんに大声で歌ってもらいたいと言っていたのを思い出す。ありがとう。めちゃくちゃたのしいよ。でもねえ...もうほとんど最初から声が枯れているのを心配せずにはいられなくて。心配で胸がざわつきながら、どうか最後まで歌いきれますようにと必死で祈っていた。
ドームツアーのときとはまた違った雰囲気のエマさんのソロから繋がったのは、大好きな聖なる海とサンシャイン。イントロで両腕を広げ、十字の姿の吉井さん。吉井さんの十字の姿、美しくて大好き。今までこの歌の辛い部分しか見てなかったけど、とてもEASY GOな状況じゃないときこそ、無理にでもEASY GOって口ずさむことも大事かなってようやく思った。きっと、今の私に必要なことだったんだろうと思う。
それにしてもBURNが始まったときの大歓声はすごかったなー。みんなBURN大好きね。確かそのBURNでだったと思うんだけど、歌の途中で胸のタイを引っ張りながらほどく仕草が艶やかで、あぁ私のロックスターがステージに舞い戻ったわと胸をときめかせたし、続けてきたのが正にROCK STARでもう子供のようにはしゃいで飛び跳ねちゃったよ。その後も楽園、SPARKと代表に次ぐ代表曲、代表曲のオンパレード。「いつか僕らも大人になり老けてゆく」バンドの音と、吉井さんの声と、お客さんの声が混ざり合った音がはじけたシャボン玉の霧のように耳に届く。
ドラムソロからベースソロ、リズム隊の2人のかっちょいい演奏からソナタの暗闇。私の記憶があっていたら、2020年の代々木のセックスレスデスだったっけ...あのときみたいにランダムに並べられた歌詞のフレーズがスクリーン一面映し出される演出。新曲だから初めて聴いた人も多かったと思うけど、デカデカとちょっと怪しげな字体で歌詞が出るとかなり印象的なはず。そして新曲の後は再集結後一と言っていい安定のかっこよさを誇る天道虫で特攻バーン!からの太陽が燃えている。確か太陽が燃えているのときだったかな...もうちょっと後の花道に出る曲だったかもしれないけど、下手側の花道で両膝つきながら、お客さんに向って投げキス&首クィッと傾げる吉井さんをスクリーンで目撃して全然違う位置にいた私がズキューンと頭撃ち抜かれるっていう。あれ得意だよね吉井さん。あの色男絶対ついてっちゃだめだぞ!(手遅れ)あとこれも太陽が燃えているだったかは定かではないけど、歌の途中で上手側の花道の縁に座ってたのかわいかったな。ここから見るとちんまりしてるからね。
暗転中映し出されたのは、吉井さんの病状を記録したドキュメンタリーだった。当時私達には病名こそ伏せていたが、吉井さんの報告や前向きな言動から、もしかして命に関わることと闘っているんじゃないかと逆に予感がしてしまっていた。そんな予感当たらなければいい。でももしそうだったらどうしよう。こわくて一人で何度も泣いていた。初めて見る病名を告げられ落胆する吉井さんの姿。もうこの病気自体の治療は終えているのにね、ずっと涙がとまらなかった。情けなくてごめん。そうでも、イエローモンキーのメンバーが側にいてくれて本当によかったと思った。ドキュメンタリーを見ていて、すごくそう思った。ドキュメンタリーの後に歌われる人生の終わり。吉井さんだけじゃない、生まれてきた命には必ず死が訪れる。最近そのことについてよく考える。覚悟なんてできない。できるわけがない。こわくてたまらない。涙を流しながら、でも、私は心地よくその歌に身を委ねていた。
またおセンチ全開になってしまったがここでタターン!と高らかにSUCKのスネアが!吉井さんがこうしてまたマイクスタンドをぐるんぐるん振り回すこの光景が今目の前にある幸せをしっかり噛みしめねばだよ。そうそう途中のアドリブでいつも通り鶴ちゃんの名前借りてたと思うけど、今更ながら吉井さんは「ツルタニタカシ」っていう響き自体がほんと好きだよね笑。ていうか今日最初のシルエットで三国さんがいることは把握できてたんだけど、まさかキーボード2人とは思わずえっ鶴ちゃんいるじゃんいてよかった~~。ってここでかよ!!(今日は特に吉井さん以外見えてなくて申し訳ない)続いてLOVE LOVE SHOWでMVみたいに赤い羽根のファーを首からかける吉井さん。今日も「あなたは私のエマ!」って歌って楽しそうに笑っている。今はこんなに愛おしく見つめているが、10年以上前、職場の人がカラオケで歌うとき流れてたMVを見てたときはなんとも思ってなかったことがとても懐かしい。歌い終わってファーを取ったあとも、左右に1枚ずつ赤い羽根が長い髪に残っていたのがなんだかメッシュみたいで似合っていた。
声の心配とは裏腹に、アドレナリンが出まくってる!!と興奮気味の吉井さん。平均年齢58歳、興奮しすぎて昨日寝てないというヒーセさんを、こんな61歳いる!?って笑。カメラに抜かれてお茶目なヒーセのオヤビンかわいかったな。それからアルバムが出る話をして、ツアーはまだちょっとわからなくてごめんと。今日のことも、出来るかわからなかったのにごめんね、でもみんなの歓声があれば出来ると思ったからって。そう、吉井さんは歓声で燃える男だもんね。何も出来ないと思っていたけど、頼りにしてくれてうれしかった。最後に、アルバムの中の詞に、人生は7割が予告編で残りの人生を数えたときから本編が始まる、本当にそういう気持ちで書きました。もちろんまだ若い方もいると思うけど、本編を一緒に、楽しんで下さい。そう言ってホテルニュートリノ。珍しくキー下げてる...っていうか私、吉井さんがライブでキーを下げた曲って多分今まで聞いた記憶が一度もない。あまり深く考えず、もー吉井さんったら高いキーで作るからって、言っておくね。
時計を見ると2時間が経っていた。アンコール入れて2時間くらいかと思っていたのに...まだASIANやっていないし、THE YELLOW MONKEYのアンコールがそう短いわけがない。復活の日に妥協などなかった。無茶するなあもう!ヒヤヒヤだけど、ここまできたね。最後までやってのけて、吉井さん。
アコギを持った吉井さん、まだ東京ドームで歌ったことない歌を...って、うぉーまさかのアバンギャルド!226万枚売り上げたかった、と笑いを交えた曲紹介で、まずは東京ブギウギを弾き語りで歌う。高音は辛そうだったけどまだ思ったより歌声は出ていて少しほっとした。楽しい楽しいアバンギャルドに次いでALRIGHTの出番。青い光がポツポツ見受けられて、2016年のあのボールペン電池替えて持ってきてるんだよね。健気!吉井さんは花道を通って、後ろにもあった一人分のサブステージに乗ってメンバー紹介。そしてついにASIANのお出ましだ!5万人の振る腕がまるで金色の草原のようで、その草原の中を吉井さんが歩いているみたいだった。美しい光景だった。「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」吉井さんは青き衣ではなかったが、そのセリフが脳裏に浮かんだ。私が人生で一番最初に憧れた人は風の谷のナウシカである。そうか吉井さんはナウシカ...ではないが、自分の状態より一番上や端の人達まで「その胸に届けるから」と言う強くて優しい、憧れの人であることは間違いない。みんなの草原に導かれてメインステージへ戻り、燦々と輝く吉井さんの姿を見て涙が溢れた。こうして書いている今も、あの草原の光景を思い出すとボロボロ泣いてしまう。眩しく、生命力に溢れていた。同じく生命力を感じた、初めて吉井さんのステージを丘の上から見たあの美しい光景、あの光景と共に、今日のこの美しい光景を私は一生忘れないだろう。
「誰かが言った、歓声が一番のドーピングだと」ものすごい大歓声だった。あんな歓声今まで聞いたことがあっただろうか。この生命力と愛に溢れた会場で歌われるべきふさわしい曲がちゃんと最後に残っていた。「サンキューグッナイ」きっとイントロのシンセ、三国さんだったよね。
記念写真撮らずに去って行くメンバー。あれ、こんな日にないなんてことある...?実は本来ならこのあとのWアンコールはなかったらしい。暗転したステージに歌が流れる。スクリーンにはその歌のMVと思われる、歌う吉井さんのバストアップ。歌詞の内容からたぶんアルバムに収録される「復活の日」だった。歌詞があまりに心情にリンクしてまた泣かされる。もうだめだ、今日は泣きすぎだ。吉井さんの目にも一瞬涙が滲んでいるように見えた。ステージが明るくなって戻ってきたメンバー。やっぱり!吉井さんは12弦のアコギを持っていた。最後の最後は犬小屋と相場は決まっているよね!吉井さんが最後まで歌い切ってまずほっとしたけど、吉井さんは「治ったら2daysやってやる!」って。ふふふ、なにくそ根性の吉井さんらしかったな。
「今ようやく言える、THE YELLOW MONKEYは永久に不滅です」そう言ったのはどのタイミングだっただろうか。死を意識し魂は生き続けると悟った吉井さんの「永久に不滅です」という言葉は、私の胸に深く刻み込まれた。
吉井さんと過ごすと、「わかちあう」ってこういうことかなってわかる気がする。私達の歓声を信じて、病気の話もギリギリまで晒して、出来るかかわらなかったライブもやってのけて、もっと遠い存在のはずなのに。どうしてそんなに近寄ってくれるの。いいんだよね。いいんだよね。ありがとう。私は弱くて情けない人間だけど、みっともなく涙を流しながらでも、苦しみも悲しみも喜びも幸せも、これからもあなたとわかちあいたい。ステージと客席で何度も会いたい。愛してたい、頭の中で絶望の花が咲き乱れても。
今夜はアーティストとファンという、この世で最も遠くて近い関係の、深い愛を見た夜でした。その場にいられた幸せを味が無くなるまで噛みしめたいと思う。
これが私の、復活の日の思い出。
THE YELLOW MONKEY
SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”
4/27 Sat. セットリスト
1.バラ色の日々
2.SHINE ON
3.Romantist Taste
4.Tactics
5.聖なる海とサンシャイン
6.BURN
7.ROCK STAR
8.楽園
9.SPARK
10.ソナタの暗闇
11.天道虫
12.太陽が燃えている
13.人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)
14.SUCK OF LIFE
15.LOVE LOVE SHOW
16.ホテルニュートリノ
アンコール
17.アバンギャルドで行こうよ
18.ALRIGHT
19.悲しきASIAN BOY
20.JAM
Wアンコール
21.WELCOME TO MY DOGHOUSE