雨音と共に

エレファントカシマシ 日比谷野外大音楽堂 2018
6/23（土）外聴き

東京の天気予報は曇りのち雨。折りたたみ傘と合羽を持って家を出た。
名古屋から東京に向かう間に雨が降ってきて、着いてからは雨は止む気配なく降り続いた。

3月の夢の競演から3ヶ月。存在はもういつだったか思い出せないくらい前から知っていて、私が愛聴しているスピッツや吉井さんのファン界隈でエレカシのお話はかねがね（兼エレカシファンの方結構いらっしゃる）、なので毎年野音でライブをやっているのも知っていました。ずっと気になる存在だったけど、夢の競演でついにエレカシに落ちた私。いやはやここまで落ちるとは。いや、きっかけがあればそんな気がしなくもなかった。と思う自分もいる。

FCに入会するのが一歩遅くて、会員の先行に間に合わず、一般でも取れなかった憧れの野音。取れないとは聞いていたけど、私が読んでいるブログやサイトのファンの方も取れた人が全然いなくて、ブログやサイトをやるくらいファンの方だとその気持ちの強さからか取れないと言われるチケットもなぜか取れている場合をよく見てきたんですけど笑、本当にいないので心の底から競争率の高さを思い知らされました。

外聴きする、という方法があることもいつの間にか知っていて、取れなかったら外聴きしようと初めから決めていました。てっきり秋だと思い込んでいたので、吉井さんのツアーと丸かぶりでかなり悩んだけれど、最終的に、最初に決めていたとおり野音にやってきました。

15時半過ぎに野音到着。野音に来るのも初めて。すでにリハーサルの音が聞こえていて、本当にダダ漏れなんだなあと笑。これは聴きにくるね、うん。もし私が東京に住んでいたらしょっちゅう足を運んでしまいそうだ。

写真集が欲しかったので物販の列に並ぼうか悩んだけど、予想通りかなり並んでいたので雨も降っていたし再来週のZeppで買うことに。他にやることもなかったので事前に決めていた場所にさっそく移動してみた。ステージの裏側の、客席が少しだけ見えるところ。音もよく聞こえるし、お客さんの反応と照明が見えるだけでも気分がかなり違って、場合によっては移動しようかなと思っていたけど、最初から最後まで同じ場所で聴ききました。
もうすでに何十人か来ていて、かなりの人が折りたたみの椅子を持ってきて座って待っていた。雨脚は強くなる一方で、最初は傘だけで耐えていたけど、その後合羽も着用。両方持ってきてよかった。じゃないと荷物もびしょ濡れだった。雨だと荷物を足下に置いておくことが出来ず、ずっと持っていなきゃいけなかったのが大変だった。

16時半ごろまでリハーサル、17時ごろお客さんが徐々に揃い始めた様子。外聴き組もだんだん人が増えてきて、このステージ裏の方でもざっと200人とか。こんなにも取れなかった人が...とおもうと切なくなった。なかなか埋まらない客席に、この調子だとかなり押すかな、と思ったけど、30分を少し過ぎたほぼ定刻通りにライブはスタートした。


長いので畳みますね。

Wake UpからEasy Go、5日のGROOVELINEで西沢さんが「雨の中のたうち回ってEasy Goだよ」なんて言っていたけどまさか本当になってしまうとは...笑。リズムから結構ずらして歌っていて、ちょっとあれ？とおもった。中ではどうなっていたのだろう。もしかしたら最初からあまり調子がいいとは言えなかったのかもしれない。でもその後の「おはようこんにちは」は声は出ているように聞こえたから、あまり気に留めないようにした。

そう！ここから5曲は初期の方の、ライブでも久しぶりの曲のオンパレード！とはいえ、後追いし始めたこの2ヶ月間でオリジナルアルバムはすべて網羅したけど、満遍なくを心がけてもどうしても好みの曲に偏ってしまい、私がイントロですぐにわかったのは「人間って何だ」のみ（リハーサルでもやっていた）。ちょっとくやしい！次回までにはもっと勉強して参ります。しかし雨で寒かったので「星の砂」がきたときはあったまれる！とも思ってそういう意味でもうれしかった笑。手をひらひらさせる客席がみえる。くー！いいなー！
初めて生で聴く「珍奇男」は外とはいえやっぱりすごかった。おっとっと！おっとっと！を繰り返す声や嘲笑うような声が聞こえてくる。声を張ると地声まで聞こえそうなくらいの大きさでびびる。演奏の音圧もすごい。
「武蔵野」は野音でやることはわかっていたのだから、もう少し聞き込んでこればよかったなあ。

私が大っっっ好きな「さよならパーティー」「かけだす男」「Destiny」が続いたときはもううれしくてひっくり返りそうだった（Destinyはリハーサルでもやっていた）。極めつけは「なぜだか、俺は祷ってゐた。」でじーん。いやー、「さよならパーティー」とかこんなに早く聴けるなんて全然おもってなかったよ。うれしい、ありがとう！ほんとさ、心ってやつはごまかせねえよね（どうした）。サビはどっちも「だってこんなのつまんねえ」と歌っていた。あー、雨の中歌う「かけだす男」、中で見たかったなーー！！
「ズレてる方がいい」のころにはミヤジだいぶ歌い方が疲れていたような。しかし続いたのは怒濤の「RAINBOW」、振り絞るように歌う声。歌い終わって、ミヤジの第一部終了です、の声が聞こえた。もうね、エレカシじゃなかったら普通あとアンコール2,3曲で終わってます。ここからまだ11曲もあるんだもん、ありえない。すごすぎる...。

第二部、わりとすぐ戻ってきた。はやい。という私の心の声を誰かがつぶやいた。
MCというか、「今宵の月のように」を歌います、といった言葉が聞こえた。全体的にMCはほとんどなく、雨も降っていたので外からは何を話していたかはほとんどわからなかった。
「今宵の月のように」を歌い出したミヤジの声がかすれていて出しづらそうで、一番綺麗なあの声のキーが出ないのにはドキッとした。今唯一持っている25周年のDVDでも、疲れていてもこのキーは綺麗に出ていたのに...。完全に出なくなってしまうんじゃないかと不安になりながら、私はワンマンのエレカシがこの日初めてだったから、終盤のこの声の感じがかなりやばいのかどうか半信半疑で、とにかく最後まで歌えるよう祈るしかなかった。
大好きな「笑顔の未来へ」、やっぱりかすれてるけどまだ歌えてる。すごい。大丈夫なのかな？そして「友達がいるのさ」。野音で聴く「友達がいるのさ」、素晴らしかった。あんなにかすれた声になっているのに、終盤の渾身の叫び声、「一緒に！一緒に行こうぜーー！！」の叫びに、涙が出てしまった。そこに続いたのはまた大好きな「シグナル」で。あー....。夜空に美しいメロディーが響く。暗くなって光輝くステージに、綺麗だなあと思った。いつの間にか雨は小雨になっていた。

少し何か話して、「悲しみの果て」。夢の競演で美しい歌声だった「悲しみの果て」が、もう声を出すのが辛そうで、胸が痛かった。
「歩いてゆく」は、RAINBOWの初回限定盤でしか聴けないんですね。後追いの私には手に入れるのが難しいな...。弾き語りでそっと歌っていた。「月の夜」のころには、月が見えていたのだろうか。私の後にあったから気づかなかったけど、客席からは見えていたかもしれないですね。「旅立ちの朝」、大好き。「俺よもう一度起て」が今の状況と重なって、自分に言い聞かせてるのではとおもうと胸がぎゅっとなった。「男は行く」が始まって、ああ、もう終わってしまう、さみしい、でもミヤジの喉のことをおもうと少しほっとした。身体から振り絞るような「男は行く」、なんという迫力だろう。もう声出すの辛いはずなのに、もうかなりの曲数を歌ってきてるのに、こんな人に「俺はお前に負けないが お前も俺に負けるなよ」なんて歌われたらもう完全に敗北である。だからといってどうせ私なんて、などとは思わず、はい、先生！という気持ちになった。

アンコール、すっかり雨が止んで、傘を閉じた。
もう帰らせてあげたいとおもいながら（ミヤジはそんなこと望んでなかったと思うけど）、やった！「星の降るような夜に」。まだまだ歌い続けるミヤジ、「歩こうぜー♪歩こうぜー♪」腕を振ってたのしそうな客席が見える。そしてついに、声を張り上げて全身全霊の「ファイティングマン」。姿は見えなくても、もう声が全身全霊だった。最後は中も外も、拍手喝采。3時間の日比谷野音2018、これにて終了。

振り返ると月が出ていることにようやく私も気がついた。私は東京駅まで行くために霞ヶ関へ向かって歩いて、もっと混雑するのかなと思いきや、すんなり駅まで辿り着いた。

語彙力がなく似通った言葉ばかりで、読んでくださった方がいましたら、伝わったかどうか...すみません。
初めての外聴き、雨が降っていて大変ではあったけど、外で聴く価値は十分にありました。空の下で聴く音楽は最高です。時折目を閉じて、トミのドラム、成ちゃんのベース、このギターは石くんかな？などと想像しながら、五感を研ぎ澄ませて音を堪能しました。
でも、すぐそばにいたのに会えずに帰るのはやっぱり辛いものがある...！それでもできる限りまた私は、外に聴きに来ようとおもいます。夢、と言えるほど中に入るのは難しい野音。いつか叶うことを願いながら。

ミヤジじゃなかったら絶対に喉が壊れている。あれはもうミヤジじゃないと出来ない。ミヤジは本っ当にすごいなあ。あれから繰り返し感服していた。

次の日の日曜日、25,26日の名古屋延期の知らせ。

ああ...それほどまでに、限界超えていたんだね。
あんまりネガティブなことを書くのはよそうと思っていたけど、吉井さんはバンドの復活で一年ずっとがんばって、声が出なくなって１ヶ月貝になった。去年30周年で全国ツアーをし、今年に入ってもアルバムのレコーディング、プロモーション、フェス、途絶えることなくツアーのエレカシ、いくら人より頑丈な喉の持ち主のミヤジだからといって、少し休んで回復する疲労なのか、正直とても心配しています。なんならツアーごと延期でも構わないから、どうか喉を大切にして欲しい。

でも、野音で最後まで歌いきった宮本さんを心から讃えたいと思います。
ミヤジ、ありがとう。

予定通りになっても、延期になっても、ツアー“WAKE UP!”がいいツアーになりますように。


日比谷野外大音楽堂 2018
6/23（土）セットリスト

第一部
01.Wake Up
02.Easy Go
03.おはよう こんにちは
04.浮き草
05.上野の山
06.人間って何だ
07.おれのともだち
08.星の砂
09.珍奇男
10.武蔵野
11.神様俺を
12.いつもの顔で
13.さよならパーティー
14.かけだす男
15.Destiny
16.なぜだか、俺は祷ってゐた。
17.ズレてる方がいい
18.オレを生きる
19.RAINBOW
第二部
20.今宵の月のように
21.笑顔の未来へ
22.友達がいるのさ
23.シグナル
24.悲しみの果て
25.歩いてゆく
26.月の夜
27.旅立ちの朝
28.男は行く
ーアンコールー
29.星の降るような夜に
30.ファイティングマン